「流汗克己」
たかしな司法書士事務所の司法書士 諏訪部です。
「流汗克己」
2021年(令和3年)12月 諏訪部秀明
2021年10月初旬、北海道の帯広、北見、網走、オホーツク海方面を旅した。
コロナ禍での「緊急事態宣言」が9月末日をもって解除された後、直ぐの話である。
(埼玉県川越市にある自宅から大宮駅、新幹線で新函館北斗駅、道内の特急電車を乗り継いで帯広まで行き、その二日後、路線バスを乗り継いで陸別、北見へ。北見でレンタカーをして網走湖、能取岬、能取湖、サロマ湖、湧別町、遠軽町、留辺蘂町を回った。)
このルートの中では、能取湖とサロマ湖との間に「常呂」(ところ)という町がある。今は北見市に合併して北見市常呂町というが、オホーツク海に面した人口数千人、漁業の町である。
ここにある「常呂高等学校」を訪ねたのだが、知人がいるわけでもない。
訪ねたのは2021年10月6日、晴天のお昼前である。この高校、もともとは北海道立網走高等学校の分校として戦後まもなく開校し、その後1953年に独立している。
とはいっても、現在(2021年4月現在)の在校生は一学年10名前後、全校でも約30名といったところである。
校舎は真っ白な二階建てで、校庭は広く、緑におおわれていた。三本のポールには日章旗(日の丸)と北海道旗、それに校章旗が整然と掲げられ、青空の下、海からの風にたなびいていた。正門を入ってすぐの所にあった置石には「校訓 流汗克己」とあった。
「流汗克己」、初めて見る四文字熟語、広辞苑にも熟語辞典にも見当たらない。でも、素晴らしい言葉だと思った。
ところで、なぜ、旅の途中にこの学校に立ち寄ったのかだが、それは、実に他愛のないものであった。
さかのぼること約1か月前の9月中旬、北京2022冬季オリンピック(2022年2月開催予定)の『カーリング女子 日本代表』の座をかけた試合が、稚内市において「北海道銀行」と「ロコ・ソラーレ」との間で行われた。5試合行って先に3勝したチームが代表権を獲得するというものであったが、両チームともに二勝二敗で迎えた最終戦は、8対6でロコ・ソラーレの勝利で終わった。その模様はNHKで全国放送されていた。最後の一投まで手に汗握る激戦であった。
(優勝後のインタビューで、ロコ・ソラーレの選手が「試合中、怖くて怖くてしょうがなかった。最後に天国から蜘蛛の糸が降りてきてくれた」は印象的だった。)
この試合、両チームあわせて10名の選手が出場したのだが、その全員が北見市出身者であり、かつ、ほぼ半数が常呂高等学校の卒業生なのである。全校生徒数十人に過ぎない小さな学校の卒業生が日本のカーリング界を引っ張っている(?)、これが「常呂高等学校」に興味を持ったゆえんである。
「流汗克己」、この言葉、試しにネットで検索したらすぐに「常呂高校の校訓」として出てきた。また、山形市在住の公認会計士の方が書かれた面白い文書が掲載されていた。ご興味のある方はぜひ、ご覧いただきたい。
(なお、この日のレンタカーの旅では常呂高校の他にも印象に残った場所が多かった。キーワードだけ記載しておく。興味をお持ちであればネットで検索するなどしていただきたい。
「鎖塚」「能取岬灯台とオホーツク海」「サンゴ草」「旧中湧別駅舎」「鉄道廃線史跡」「遠軽駅舎」「常紋トンネル慰霊碑」)