合同会社の設立
たかしな司法書士事務所の司法書士 諏訪部秀明です。
今回は、商業登記の分野での「会社設立」に関連したお話しをさせていただきます。
私が司法書士試験合格を目指して勉強をしていたころ、受験指導で有名な某先生が次のようなことをおっしゃっていました。
「司法書士は合格前と、合格後で、見える世界が全く違う」と。
この言葉について私が実感するところは、“司法書士の仕事の範囲は、思った以上に広いし、奥が深い”ということです。
株式会社や合同会社、一般社団法人などの各種団体の「誕生」から「終了」までの法的アドバイスや登記に関与できる、ということもその一つです。これから会社を設立しようとする方との会話の中から、エネルギーをいただくこともあります。
先日、合同会社の設立登記の仕事をさせていただきました。
正直、私のような昭和後半から平成の時代を中心に会社員生活を送ってきた者にとって、会社といえば株式会社か有限会社であり、「合同会社」については受験知識程度に知ってはいましたが、実務の世界では「何それ?」といった感じでした。
でも、今回、優れもの「合同会社」を実感した次第です。
私流に「合同会社」を一言で説明するとしたら「出資者の責任は株式会社と同じく“有限責任”であるが、設立・運営が低コストで自由度高い」といったところです。
デメリットとしては「知名度(=社会的信用)が低い」とか「上場できない」とか言われていますが、前者は認知度向上の中で現在はほとんど問題なしと言えるし、また後者(上場できない)も上場したければ株式会社に組織変更すればよいだけの話です。
加えて今回、私が実感したのは、
- 合同会社の定款はシンプルで、依頼者(設立をしようとしている方)にも理解しやすい。
- 設立当初は出資者一人として、徐々に出資者を増やし、また、必要に応じて「社員総会」などの内部機関を置くことで柔軟に対応できる。(ただし、定款変更が必要)
- 設立時費用が安い
登記申請時の登録免許税が最低6万円(→株式会社では15万円)
なお、「特定創業支援」対象者は3万円(租税特別措置法80条2項3号)
今回の登記申請(さいたま地方法務局)にあたっては、オンライン申請ではなく、書面申請で、かつ郵送ではなく窓口提出としました。ご依頼者にも同行いただき、印鑑の提出、印鑑カードの申請、さらには設立後の各種証明の申請方法などをご説明しました。
取りあえず私ができることはここまで、今後は、陰ながら会社の発展を祈るだけです。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
追伸:設立登記に必要な書類を提出する際に、同時に印鑑カードの交付申請を行い、かつ郵送を依頼しました。なお、郵送方法は任意ですが、返信用封筒に所要の切手を貼ります。私は、簡易書留扱いとしましたので、事前に郵便局に封筒を持ち込み、「簡易書留」のスタンプと切手414円(94円+320円)分を貼りました。